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久保 博孝; 左高 正雄; 白井 稔三
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.352 - 355, 2006/00
核融合研究では、粒子熱制御やプラズマ診断のために、燃料である水素,核反応で生成されるヘリウム,プラズマ対向面材料から発生する不純物に関する原子分子データが必要である。ここでは、原研における核融合研究のための原子分子データ整備に関する最近の活動概要について報告する。原研では、最近、低温ダイバータプラズマにおいて重要な役割を果たす分子(水素分子,炭化水素分子等)に関する反応断面積データを収集評価している。収集評価したデータから半経験式を導き、データを使いやすくした。また、米国国立標準技術研究所と協力して、核融合プラズマにおいてプラズマ対向面材料から発生する、あるいは熱制御やプラズマ診断のために入射される重不純物(Ar, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Ga, Kr, Mo, W)の高電離イオンに関するスペクトルデータを収集評価している。さらに、大学の協力を得て、低エネルギー領域における電子衝突や荷電交換に関する断面積データの取得を行っている。
日下部 俊男*; 塩田 健司*; 久保 博孝; 白井 稔三*
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.237 - 239, 2006/00
核融合プラズマ装置においてプラズマ対向面として炭素材料を用いた場合、周辺プラズマには炭素イオンや種々の炭化水素分子が不純物として発生する。これら不純物の挙動をモデル化するには、炭素イオンと炭化水素分子の電荷移行断面積が必要である。われわれは、Cと種々の炭化水素分子及びCO, COの1電子及び2電子の移行断面積を0.7-6keVのエネルギー領域で測定した。その結果、ここで測定したほとんどの場合に対して電荷移行断面積はエネルギー依存性が弱いことがわかった。また、炭化水素分子の1電子移行断面積は炭化水素分子の電離エネルギーに依存することがわかった。一方、2電子移行断面積にはそのような依存性は見られなかった。
今井 誠*; 白井 稔三*; 斉藤 学*; 春山 洋一*; 伊藤 秋男*; 今西 信嗣*; 福澤 文雄*; 久保 博孝
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.323 - 326, 2006/00
われわれは核融合研究に必要なイオン-原子,イオン-分子衝突による荷電交換断面積データの生産と収集を行ってきた。核融合炉の対向面材料から不純物として発生するの1価及び2価イオンと原子(),分子()との衝突による1電子及び2電子交換断面積を5-15keVの衝突エネルギー領域で測定した。また、1983年以降に科学雑誌に発表された荷電交換断面積の測定データを収集した。ここでは、これらのデータ生産,収集活動について報告する。
落合 謙太郎; 近藤 恵太郎; 村田 勲*; 宮丸 広幸*; 久保田 直義; 高橋 亮人*; 西谷 健夫
Fusion Engineering and Design, 75-79, p.859 - 863, 2005/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)原研FNSではコリメーター14MeV中性子で照射された核融合炉候補材料から放出する核反応荷電粒子の測定を継続的に行っている。第1に候補材であるベリリウムの測定を行った、厚さ100mのベリリウムサンプルからBe(n,)He, Be(n,2n)2 and Be(n,t)Li核反応によるアルファー粒子,トリトンのエネルギースペクトルを高精度に測定することに成功し、その値から各核反応の2重微分断面積を求めた。評価済み核データの比較から、Be(n,2n)2 and Be(n,t)Li反応の2重微分断面積は実験値と良い一致を示した。
Verzilov, Y. M.; 落合 謙太郎; Klix, A.; 佐藤 聡; 和田 政行*; 山内 通則*; 西谷 健夫
Journal of Nuclear Materials, 329-333(Part2), p.1337 - 1341, 2004/08
被引用回数:4 パーセンタイル:29.26(Materials Science, Multidisciplinary)これまで濃縮チタン酸リチウム,ベリリウム及び低放射化フェライト鋼F82Hから構成された多層ブランケット模擬体系に対して14MeV中性子源FNSを用いた核特性系積分実験を実施してきたが、実測されたトリチウムの生成率はモンテカルロ中性子輸送計算コードMCNPと核データJENDL-3.2による計算値よりトリチウム増殖層平均で20%小さかった。その主要な原因として、ベリリウム中の微量不純物(B, Li, Gd等)が寄与していると考察し、FNSを用いて中性子透過実験を行い、実験的評価を行った。大きさの異なるベリリウム単体の体系にパルス状DT中性子を入射し、BF3中性子検出器により、熱中性子束の減衰時間を測定した。全ての試験体で、測定した熱中性子の減衰時間は計算値より早かった。これはベリリウム中の微量不純物により熱中性子束が吸収されるためと考えられる。熱中性子の減衰時間から実行的な吸収断面積を評価した結果、核データから評価した断面積より30%大きな値が得られた。不純物の主要成分を検討し、トリチウム増殖率への影響を評価している。
核融合中性子工学研究室
JAERI-Review 2004-017, 163 Pages, 2004/07
核融合中性子工学用中性子源FNSは1981年に完成した、加速器型の14MeV中性子源である。FNSは中性子断面積測定,積分実験,ブランケット中性子工学実験等の核融合炉開発を目的として中性子工学実験にとって強力な研究手段である。本報告書は大学及び他の研究機関との協力研究も含めて、20012003年度のFNSの活動をまとめたものである。
前川 藤夫; 和田 政行*; 池田 裕二郎
Journal of Nuclear Science and Technology, 38(1), p.53 - 62, 2001/01
核融合炉の安全設計を行ううえで、14-MeV中性子照射された機器中における崩壊熱を高精度で予測することは極めて重要である。そこで、原研FNSの14-MeV中性子源施設で取得された32種の核融合炉関連材料に対する系統的な崩壊熱実験データを利用し、崩壊熱計算精度の検証を行った。日本で開発された2つの計算コードであるACT4とCINAC、及びJENDLとFENDLの放射化断面積ライブラリ、などのテストを行った。計算値を実験データと比較した結果、2つの計算コードのアルゴリズムは正しく、また多くの放射化断面積や崩壊データは適切であることを確認した。しかし、不適当な放射化断面積、放射化断面積データの欠如、X線や転換電子エネルギーの不適切な取り扱い方法等の問題が依然として存在することがわかった。
藤本 望; 山下 清信; 秋濃 藤義
JAERI-Research 99-052, p.51 - 0, 1999/09
VHTRC炉心に複数本の反応度調整材(BP)棒を装荷した実験結果について、BP反応度価値の解析精度を評価した。その結果、HTTRの核設計に用いている、ブロック内を均質としたモデルではBP反応度を20%程度過小評価することが明らかとなった。この結果は、BP反応度を系統的に過小評価しているため、過剰反応度を高めに評価するという観点からは保守的であり安全上問題ない。しかしながら、高温ガス炉の設計の合理化、将来炉の設計、HTTRの運転管理等のためには評価精度の向上が必要である。そこで、BP位置をモデル化し炉心内のインポータンス分布をより詳細に考慮すれば精度が向上すると考え、燃料体内でのBP棒の位置を考慮できるよう燃料体のメッシュ分割数を増やしたモデルを作成した。このモデルとともに、炉心計算のBP棒領域に対応する範囲で均質化することにより作成した実効断面積を用いることにより、10%以下の誤差でBP反応度を評価できることが明らかとなった。
真木 紘一*; 佐藤 聡; 川崎 弘光*
JAERI-Data/Code 97-002, 76 Pages, 1997/02
照射損傷の代表的指標である弾き出し損傷評価に必要な弾き出し断面積セットを、反応のカイネマティクスを用いて算出した。弾き出し断面積セットに内蔵した核種とエネルギー群構造を核融合炉核計算用群定数セットFUSION-J3と同一とし、それぞれ、40核種、125群と42群の二つのセットを作成した。そのセットを用いて、国際熱核融合実験炉ITERを対象に第一壁中性子フルエンス1MWa/mに対して、SS316と銅の弾き出し損傷を算出した結果、それぞれ10dpa、13dpaが得られ、過去に特定材料として評価された結果とほぼ一致している。以上より、運転中の中性子束の計算結果をベースに、弾き出し損傷まで通して評価できる核融合核計算システムを構築した。
池田 裕二郎; D.L.Smith*
Fusion Technology, 30(3(PT.2B)), p.1190 - 1196, 1996/12
D-T中性子による核融合炉構成材の放射化の問題は、炉停止後の線量、崩壊熱、放射性廃棄物評価で基本的であり、特に長寿命放射性核種生成は長期に渡る廃棄物処理のシナリオ作成上重要である。IAEA-CRPとして過去5年間の活動として放射化断面積の精度が飛躍的に向上した。本論文は、関連する断面積の測定に係わる技術的な取組みとこれまで世界各国の主要な専門家によって得られた実験データの現状をレビューするとともに、特に重要な14MeV中性子放射化断面積測定で中心的な貢献をした原研FNSにおける成果を中心に紹介する。本論文は、上記会議の特別セッション「核融合炉のための核データ」の招待講演として発表するものである。
池田 裕二郎; 今野 力; 前川 洋
Nuclear Science and Engineering, 116, p.19 - 27, 1994/01
被引用回数:6 パーセンタイル:52.28(Nuclear Science & Technology)14MeV中性子1次反応で放出される荷電粒子が引き起こす連続的反応過程が長寿命放射性核を生成する場合が有り、核融合炉の誘導放射能評価においてその概念の重要性が指摘されている。実験による概念の妥当性を検証するために、D-T中性子で照射された鉄、銅及びチタンの(n,xp)反応による放出陽子が誘導する(p,n)連続反応に着目し、各々Co,Zn及びVの生成断面積を初めて測定した。実験値は各々4.5,8.9及び2.8bとなり1次中性子反応断面積に比べ3桁以上小さい値である。実験値の妥当性を評価するために反応過程を考慮した推定計算を行った。その結果、Coでは20%過大評価、Znは40%、Vは4倍各々実験値を過少評価している。結論として、推定計算に用いたデータの不確定性及び近似を考慮する限り、妥当な範囲の値であり、荷電粒子誘導連続反応の概念を実験的に検証したものと言える。
池田 裕二郎; 今野 力; 小迫 和明*; 浅井 雅人*; 河出 清*; 前川 洋
Journal of Nuclear Science and Technology, 30(10), p.967 - 973, 1993/10
被引用回数:4 パーセンタイル:44.87(Nuclear Science & Technology)Nb(n,n)Nb反応の14MeV領域での断面積を放射化法で測定した。この反応は閾エネルギーが低く半減期が13.6年と長いことから高速炉のみならず核融合炉ドシメトリーで有力な検出器として期待されている。しかしながら、1~9MeV領域で複数の実験データが報告されているが10MeV以上では14.3MeVにRyvesの報告が1点あるのみで断面積評価精度は十分とは言えない。本実験では、FNS回転ターゲットを用い厚さ12.5mのニオブ箔をD-T中性子で照射し(~410/cm)、照射後NbのKX線の測定から反応率を求め断面積を導出した。中性子束はNb(n,2n)Nb及びCu(n,)Co反応から求めた。本実験で得られた14.5及び14.9MeVでの断面積は、Ryvesの測定値、IRDF-90及びJENDLドシメトリーファイル評価値と比較して5~15%高い値を示した。本実験データを含めた14MeV領域での断面積の再評価が強く望まれる。
森 清治*; S.Zimin*; 高津 英幸
JAERI-M 93-175, 72 Pages, 1993/09
核融合炉の核・遮蔽計算において使用されるヘリウム及び水素生成断面積ライブラリーをJENDL-3データファイルに基づいて作成した。これらのライブラリーは核融合炉核設計において頻繁に使用される輸送計算用断面積セットFUSION-J3とFUSION-40と同じ群構造を有しており、反応率計算コードAPPLE-3の応答関数として使用できる。本ライブラリーはJENDL特殊目的ファイルのひとつであるJENDLガス生成断面積ファイルから処理された。1次元輸送計算コードANISNと本ライブラリーを用いた計算を行い、計算結果を過去の計算例と比較した。本ライブラリーにより信頼性の高いヘリウム及び水素の生成量の評価が可能となり、今後の核融合炉設計に役立つものと考えられる。付録には作成された多群ライブラリーをグラフ及び表の形で示した。
深堀 智生; 千葉 敏; 浅見 哲夫*
JAERI-M 92-053, 205 Pages, 1992/04
中性子放出二重微分断面積は核融合ニュートロニクス計算の基礎データとなる。わが国の評価済核データライブラリ第3版(JENDL-3)は核分裂炉だけでなく核融合炉用にも使用できるように作成された。JENDL-3の評価値の信頼度を検討するために、リチウムからウランまでの32元素の二重微分断面積についてENDF/B-VI及びJEF-2とともにJENDL-3の評価済核データと実験データの比較を行った。入射中性子のエネルギーは4.2、5.4、6.0、14.1、18.0MeVで、実験データの放出角度は30°、60°、90°、120°、150°を選択した。JENDL-3の評価済核データは大部分で実験値との良い一致を示したが、いくつかの相違点が確認された。これらの相違点を検討することにより、JENDL-3の修正に有用な情報を与えることができる。
小迫 和明*; 大山 幸夫; 前川 洋
Proc. of the Topical Meeting on New Horizons in Radiation Protection and Shielding, p.357 - 363, 1992/00
核融合中性子工学への応用を主目的として、JENDL-3に基づいたMCNP用連続エネルギー断面積ライブラリーを作成した。本ライブラリーを作成するために、JENDL-3に適合するように修正した核データ処理システムNJOYとライブラリー編集・確認コードとして新たに開発したMACROSコードを使用した。NJOYに施した修正点とFSXLIB-J3の作成条件について説明し、ライブラリーの信頼性を確認するために行ったJENDL-3との比較方法について説明し、その過程で得られた結果(プロット)を説明する。
小迫 和明*; 大山 幸夫; 前川 洋
JAERI-M 91-187, 120 Pages, 1991/11
核融合炉などでの利用を目的として、日本で新しく評価された汎用評価済核データファイルJENDL-3が公開された。核融合中性子工学への応用を目的として、JENDL-3に基づいたMCNP用連続エネルギー断面積ライブラリーFSXLIB-J3を作成した。本ライブラリーの作成には、核データ処理システムNJOYとMCNP用断面積ライブラリー編集・確認コードMACROSを用いた。本ライブラリーの信頼性は、内包する断面積データとJENDL-3との比較により確かめた。本報告では、MCNP用断面積ライブラリーの形式、FSXLIB-J3作成過程、MACROSコードの使用法、及びFSXLIB-J3の確認について説明し、確認結果の一部を図示する。
関 泰; 川崎 弘光*; 山室 信弘*; 飯島 俊吾*
JAERI-M 91-109, 312 Pages, 1991/06
核融合炉の放射化計算のために、放射化データが必要である。本報告書は、放射化計算コードシステムTHIDA-2で使用するために、最新の実験、計算等に基づいて評価した放射化データを図形表示したものである。核融合炉の設計の立場から関心がある152各種に関する核種変換と崩壊方式のデータ、核種変換断面積及び遅発ガンマ線放出データを収録した。本報告書は、1982年に編集した116核種に関する放射化データの報告書を、最新のデータで置き換え、さらに拡張したものでる。前回の報告書は、放射化データの参照と不適当なデータの摘出、修正に極めて有効であった。
中川 正幸; 森 貴正; 金子 邦男*
JAERI-M 90-097, 95 Pages, 1990/06
JENDL-3より125群二重微分型断面積ライブラリーを作成し、そのテストのため核融合ニュートロニクスに関連したベンチマーク問題を解いた。断面積はPROF-DDシステムで処理し、20核種のライブラリーと、反応率計算のために放射化断面積を14種作成した。ベンチマーク計算は、LLNLの球体系漏洩中性子スペクトル、ベリリウム増倍実験、日米核融合ニュートロニクスベンチマーク問題、FNSにおけるブランケット工学実験PhaseIIbである。これらの結果を、実験及びJENDL-3/PR1との結果と比べる事によりJENDL-3の核融合炉中性子核特性に関する特徴がかなり明らかとなった。
森 貴正; 佐々木 誠*; 中川 正幸
JAERI-M 87-123, 55 Pages, 1987/08
一次元SnコードANISNの改良版を作成した。本コードは特に、核融合炉のニュートロニクス計算でみられるような強い非等方散乱断面積を持つ物質中での中性子輸送計算において有用である。本コードでは強い非等方散乱を精度良く取り扱うために、従来のルジャンドル展開に代って、多群二重微分型断面積(DDX)を用いている。その結果、散乱後のエネルギーと散乱角の相関が多群近似の範囲で正確に考慮されている。本コードはオリジナル版の持つ機能の他に、DDXライブラリーを用いた輸送計算(固定源問題及び固有値問題)、adjoint計算、及びDDXの縮約の機能を持っている。
池添 博; 鹿園 直基; 冨田 芳明; 井出野 一実; 杉山 康治; 竹腰 英子*; 立川 敏樹*; 野村 享*
Nuclear Physics A, 456, p.298 - 316, 1986/00
被引用回数:14 パーセンタイル:62.08(Physics, Nuclear)TDHF理論で予言されている融合反応における低角運動量のカットオフを検証するため、O+C及びO+O融合反応で生ずる残留核の生成断面積の励起関数と、残留核の速度分布を測定した。実験結果を統計モデル計算と比較する事によって次の事が判明した。(i)TDHF理論で予言されるような大きな効果は残留核の生成断面積にはみられなかった。(ii)予言されるような現象(その大きさは別にして)の可能性を完全に否定する事はできず、高いエネルギー領域(入射エネルギー≧120MeV)で若干の可能性(但し小さい)を残した。